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2006年11月3日「アイーダ」観劇レポート


劇場入口 1年ぶりに「アイーダ」(劇団四季ミュージカル)を観ました!しかも、初めて訪れた福岡シティ劇場で、1階最前列センターの席。なんと言っても、大好きな女優・濱田めぐみ(アイーダ役)を一番近くで観ようと取った席ですから。気合いは十分です。

 福岡でまず驚いたのは、客席とステージの距離の近さ。京都劇場よりは断然観やすいです。福岡市民はいいなあ・・と心底思いましたね。
 一緒に行った妻は前から7列目のセンターなので、俳優の細やかな表情と、ステージ全体の動きを両方つかむには最高の席です。一瞬、席を替えてもらおうかなと思ったぐらいですが、ここは初志貫徹。

 さて、幕が開くと、現代の博物館シーンで主演の2人が見つめ合うシーンから一転、古代エジプトの世界に包まれます。「時は古代エジプトの物語〜」で始まるアムネリスを演じるのは五東由衣さん。京都公演では華麗な佐渡寧子さんばかり観てきたので、少しイメージが狂いました。「おっしゃれ〜」のナンバーでは美しいドレスを身にまとうものの、顔がちょっとおばさん風なので、少しテンションダウン。

劇場入口で写真撮ってもらう ラダメス役の阿久津陽一郎さんはお馴染みなので、安心して観ていられました。一瞬の隙をつかれてアイーダに配下を人質にとられ、交換条件を迫られるシーンは迫力満点。私の目の前で刀を振り回されて、一瞬ヒヤリとするほどです。
 それにしても阿久津さん、大声出すと、つば飛びまくりですね。あれじゃあ、絶対めぐみちゃんにかかってますよ・・。

 「お洒落は私の切り札」では、アムネリスと侍女たちがセクシーなドレスで歌い踊るので、目のやり場に困りました。なにしろ最前列ですから、目の前で脚を開かれたら、もうたまりません!

 ・・とまあ、どのシーンも良かったのですが、やはりその中でも、めぐみちゃんが歌うナンバーは最高でした。上手な役者は他にもいますが、彼女には何か神がかり的なものを感じます。抜群の歌唱力も魅力の1つですが、それ以上に惹きつけられるのが「魂」が込められた演技ですね。憎んでいた筈の相手を好きになってしまう心の動き、当初はリーダーになることを拒んでいた彼女が同胞たちに懇願されて覚悟を決めるところなど、一つ一つの繊細な心の動きを、この日も見事に演じていました。

 中でも圧巻が、第2幕の「人生の苦しみ」のナンバーでした。ヌビア国王である父親から「ラダメスのことは忘れろ」と言われ、祖国をとるか恋をとるかで悩み苦しむさまをソロで唄うこのナンバーは、舞台の特殊効果もなく、まさにめぐみちゃんの最大の「魅せ場」。頭のてっぺんから手のひら、脚のつま先まで、全身全霊を込めて唄う「神に捧げた私の人生、ヌビアのための私の命」は、何度観ても涙が出ますね。彼女は顔の筋肉の使い方が尋常じゃない!このナンバー以外なら井上智恵さんでも務まりますが、この「人生の苦しみ」をこれほどまでに苦しく表現できるのは濱田めぐみだけでしょう。あの小さな体で、ずっと気持ちを切らさずに2年以上もアイーダを演じ続けている彼女は、本当にすごいと思います。
 
ラストシーン そして、鎖に繋がれたアイーダとラダメスが歌う最後の「迷いつつ」では、めぐみちゃんの瞳から、本物の涙が流れていました。役になりきって本当に泣ける彼女ですが、毎日公演で泣いていたら、そのうち涙が枯れるんじゃないの・・って、余計な心配をしてしまうほど。
 
 そうそう、毎日公演と言えば、めぐみちゃんと阿久津さんは1回の公演で最低4回はキスしてるんですよね。この2人、京都公演の時から共演している(勿論、2人とも他の演目にも出てるからずっとじゃないけど)から、恋人とよりもよっぽど沢山チューしてることになります。こんなんじゃ、相手の人は(いるのかわからないけど)気が気じゃないなあ・・。
 
 ところで、濱田めぐみさんとは1年前に少しだけお話しする機会があって、それ以来大ファンになりました。彼女は10年前に「美女と野獣」のベルでデビューしていますが、今となってはめぐみちゃんに可愛らしいベルは想像もつきません(失礼かな?)。この人にはずっと「アイーダ」を演じていてほしいし、他の役をするとしても、苦難に立ち向かう強い女性の役のほうがハマルんだろうなと、改めて思いました。

福岡シティ劇場のある「キャナルシティ」 最後のカーテンコールでの、出演者たちの清々しい笑顔も良かったです。汗だくになりながらも、ひと仕事終えた満足感や、お客さんへの感謝の気持ちがしっかり伝わってきました。隣りに座っていた阿久津ファンの女性2人が歓声をあげると、私も席を立って喝采を送りましたが、すぐ目の前にいためぐみちゃん、果たして気づいてくれたかどうか?

 余談ですが、カーテンコールが終わって舞台に引っ込む直前、客席に向かって投げキッスをしてくれためぐみちゃん。「あれは僕にしてくれたのかな?」と妻に言ったら、「あんたアホちゃう」と一蹴されてしまいました。
<おわり>


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